4 退去命令の伝達
審尋期日の翌日、聖世弁護士の事務所に決定書が郵送されてきました。特別送達です。少々横着をすれば受領を遅らせることもできなくはないのですが、いつも事件の相手方にされているからといってそこまで品がないことをするわけにもいきません、
受け取りました。
さて、これを本人に知らさなければなりません。
決定は、退去命令だけでなく、接触や面接禁止など結構多岐にわたっています。できることなら、文書を送付したいのですが、聖世弁護士が決定書を受領した段階で命令は発効しています。当然、そのことを予想してAには指示していますから、この日には退去しているはずです。
ということは、郵送してもAには届かないわけです。
Aの携帯電話の番号を聞いていましたから、なんとか連絡ができましたが、携帯電話を持ってないとか、持ち出してないとかいう場合は(実際、警察に押収されていても不思議ではないです)どうするのでしょう。
そんなことをしているうちに、今度は警察から電話連絡がありました。
命令が出ていることをAに警告するから連絡先を教えてくれといいます。
聖世弁護士が、自分が命令の内容をAには知らせているというと、警察は独自に本人に警告をすることになっているとのこと。それはご苦労さまなことですが、Aの自宅に行ってみると留守だからということです。そりゃ当然です。退去命令が出ているのですから。
で、聖世弁護士にAの携帯電話の番号を教えてくださいとのこと。
そんなこと、警察が知らないのでしょうか。保護している申立人が知っているはずなのに。一旦押収した携帯電話なのに。
聖世弁護士だって、Aの携帯電話番号なんて、退去命令後の連絡先として特に教えてもらっていましたが、教えてもらえないことだってあります。
そんなときは、退去命令はどうして伝えたらいいのだろうかと聖世弁護士は考えてしまいます。