いわゆる過払金の返還を受けた場合(訴訟和解、訴訟外和解)ですが、この返還金に対する課税については、自分のお金を返還してもらうだけですから課税されないと承知している人は多いのですが、事業用の資金借入について過払金の返還を受けた場合には「課税されるのか」と心配して尋ねられる先生が未だにおられます。
答える側としては、運転資金の借入金利息は必要経費又は損金に算入していることを確認したうえで、「返還金は課税対象です」と答えることになります。そう答えざるを得ません。必要経費や損金に算入している金額が非課税であれば二重控除になるからです。
ただし、実際に課税されるのは、返還金のうちの必要経費又は損金に算入されたことが明らかな金額のはずです。和解の場合は、返還総額や計算方法などに争いがあることもありますし、返還金額も客観的な計算金額ではなく、いろんな事情を総合した合意金額が普通です。そうなると、返還金のうちの必要経費又は損金の算入金額を確定するのはほぼ不可能になります。したがって、実際に課税するのは難しいし、実務は課税していないのではないかと想像しています。
もっとも、「少なくともこれだけは」という形で金額を確定することが可能な場合はあると思います。その場合は、課税庁の課税処分も、その限度で可能になります。
参照
和解の法理と税務V1.7/ Ⅱ不当利得返還和解(1)/解説2
和解の法理と税務V1.7 紹介サイト https://www.yamana-tloffice.com/law-tax1-7/
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