受領側ならほとんど気にしません。
個人事件で多いのは交通事故を主とする損害賠償事件です。交通事故の損害賠償金なら、ほとんどの非課税収入に該当しますから気にしなくとも問題になりません。ただ、給与所得者や主婦、学生ならいいのですが、事業者の場合の休業補償金は課税収入になることがありますから注意が必要です(心身に加えられた損害に基因する休業損害・収益補償金→非課税・所令30一括弧書き)。保険金を受領した場合でも同じです。実際には、個人事業者の方は税理士に事業所得等の申告を委任しているのが普通ですから、弁護士が気づかなくても適正に申告されているのだと想像します。
参照
和解の法理と税務 Ⅲ損害賠償金(4)/解説1
支払側
これも、非事業者の場合は税金問題になりません。どれだけ多額の賠償金を支払っても家事費だからです。「必要経費」がないわけです。
やはり、事業を営んでいる人が業務遂行中に起きた交通事故の損害賠償金の支払いについて経費にできるかという問い合わせがたまにあります。これは、事実関係をよく聞かなければ答えられませんが、一般的には、業務遂行中で故意又は重過失がなければ、支払損害賠償金は必要経費に算入できます。しかし、契約していた保険金がおりてそれで支払ったということがほとんどのようで、あまり深刻な話は聞きません。
支払損害賠償金の経費性は、和解をするにしても、示談をするにしても、それが必要経費として控除できるか否かで示談や和解をするしないを決めることはないと思います。ですから、申告時にどう処理するかを教えてほしいという相談はありますが、事件処理の問題というわけではありません。
それでも、支払損害賠償金が経費になるか、損金として処理できるかというのは、実際に支払う側にとっては関心の高いことです。弁護士が訊かれることもごく普通のことです。その際に、「税金のことは税理士さんに訊いてください」よりも、説明した方がよいに決まっています。
支払うのが業務者で使用者が従業員の起こした事故となると相応に複雑になります。
参照
チャートの課税診断で大概は結論が出せます。
和解の課税診断Ⅱ/債務の確認と履行和解/具体的確定債務/損害賠償金支払目的/不法行為 以下