母の昔話
語り 山 名 かつい
聞き書き 山 名 隆 男
これは、私が母から聞いた、京都の狸とかキツネの悪さについての話です。母は明治四一年生まれです。その母が娘時代に聞いた、その時点でもかなり昔の話でありますから、もう本当に昔の話になります。 明治の京都はまだまだ市街地は狭く、今では住宅やビルが建ち並んでいる辺りも田圃や野原、竹薮などの淋しい所だったということです。そのころは、狸もキツネも住むところに事欠かず、結構元気だったのでしょう。人を編したりからかったりしていたし、人も負けじと対抗していたようです。
奔馬26号 平成10年 掲載
奔馬28号 平成12年 掲載 アンコール「奔馬」26号
記事に「平成12年11月21日逝去」とあります。母が亡くなったことが理由なのかどうかわからないのですが、編集者が再掲載してくれた経緯があります。
初掲の「あとがき」です。
母からは、この外にもたくさんの昔話を聞いてきた。いつか書き留めておきたいと思いながら、聞くばかりで、書き留めなかった。その母も九〇歳です。今年は入院生活が長いですが、頭は何時もクリアです。今でも、昔話はしっかりしてくれます。ただ、地名は変ってるし、「ドコソコのOOさん」がいっぱい出てきて、その人間系列がわからないと登場人物もイマイチ精彩がないものです。書き留めるのもかなり難しいです。
実際、もっともっと書き留めておけばよかったと今でも思っています。そして、父親からも「大徳寺の狸」や「庄兵衛沼の幽霊」の話を聞いた記憶があります。しかし、内容は忘れました。子供のころは、恐ろしいほどではないオカルト的な話が好きだったのでしょう。
平成29年10月